インプラント周囲炎

PERI_IMPLANTITIS

インプラントを適切に
ケアできていないとかかる病気

インプラントの素材は、チタンやセラミックなどの人工物で構成されているため、虫歯になるリスクがありません。しかし、歯周病菌には注意するようにしましょう。口腔内の衛生環境が悪いと、インプラントの根元にプラーク(歯垢)が蓄積し、歯周病菌が増殖します。放置すると、インプラントと歯肉の間に歯周ポケットが形成されて、腫れや出血などを引き起こします。これがインプラント周囲炎の始まりです。
インプラント周囲炎が重症化すると、顎の骨が溶けて、インプラントの固定が不安定になります。最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうケースも考えられます。

インプラント周囲炎の主な症状

  1. 歯ぐきに痛みがある
  2. 歯ぐきが腫れている
  3. 頻繁に歯ぐきから血が出る
  4. 歯ぐきから膿が出ている
  5. 歯ぐきが下がっている感じがする
  6. 歯と歯茎の間の溝が深くなっている

インプラント処置後、少しでも違和感を覚えた場合は迅速に歯科医院を受診してください。放置すればするほどトラブルは大きくなり、治療の費用や回数がかさみます。
せっかく入れた大切なインプラントを長く保つためにも、違和感を放置しないようにしましょう。

歯周病以上に怖い
インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、しばしば「インプラントの歯周病」とも呼ばれます。それは、歯周病菌が原因である点、および発症のメカニズムがお互いに似ているからです。しかし、インプラント周囲炎は歯周病よりも、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
自然な歯は歯肉としっかり結びついているので、細菌の侵入を的確に防ぎます。しかし、インプラントにはこのような自然な結合がないため、細菌が簡単に深い部分に入り込みやすいのが特徴です。また、インプラントの場合、一度感染すると治療が難しくなり、最悪の場合、インプラントを取り除く必要が出てくることもあります。インプラントと天然歯の構造の違いにより、インプラント周囲炎は歯周病よりも問題が大きくなりやすいのです。

インプラント周囲炎の進行

  1. STEP01インプラントの周囲に歯垢(プラーク)が蓄積し、歯茎の赤みや腫れといった炎症が現れます。

  2. STEP02少しずつインプラントと歯茎の接触部分にある歯周ポケットが深くなってきます。

  3. STEP03顎の骨が徐々に溶け始め、少しずつインプラントのぐらつきが発生します。

  4. STEP04症状を放置すると、最終的にはインプラントが抜け落ちる恐れがあります。

※インプラント周囲炎は初期段階だと痛みなどの自覚症状がほとんどありません。そのため、インプラントを入れる前よりも綿密に日々のブラッシングを行い、インプラント周囲の衛生状態を維持するようにしましょう。
また、定期的な歯科検診も非常に重要です。日々の適切なケアと歯科医院での定期的なメインテナンスが、インプラント周囲炎の進行を防ぐ鍵となります。

インプラント周囲炎の治療法

インプラント周囲炎の治療には、口腔内の徹底的なクリーニングが欠かせません。日々のブラッシングや歯周ポケット内を丁寧に洗浄することで、口腔内を細菌の少ない状態に維持することが重要です。症状が深刻な場合には、歯垢や歯石を取り除く処置や、特別な消毒薬を使った洗浄をご提案します。
インプラント周囲炎は歯周病と同様に、初期段階での適切な治療が非常に重要です。違和感を放置してしまうと、最悪の場合はインプラントを取り除く必要が生じることも考えられます。ぜひ症状が出る前段階から、積極的に歯科医院の受診をご検討ください。

歯科医院で行う進行具合に合わせた対処

  • 歯周ポケットの深さが
    3mmまでの場合

    歯周ポケットがまだ浅い状況なので、専門的なクリーニングであるPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を行い、プラークやその他の汚れを取り除きます。

  • 歯周ポケットの深さが
    4~5mmの場合

    出血や汚れが目立つようになります。そのため、PMTCに加えて消毒薬を使用した洗浄が必要です。定期的に治療を受けていただければ、炎症が抑えられて、さらなる症状の進行を防ぐことができます。

  • 歯周ポケットの深さが
    5mm以上の場合

    歯周ポケットが5mm以上になると、より複雑な処置が必要です。骨がまだ溶けていない場合は、PMTCと消毒液による洗浄を行います。ただ、既に骨が溶け始めて、通常のクリーニングでは改善が難しい場合は、感染した歯肉やインプラントにこびりついた歯石を除去します。

インプラント周囲炎の予防

インプラント周囲炎は、一度重症化すると全身にも悪影響を及ぼします。また治療費用や治療回数がかさむことで、患者様の負担も増します。そのため、インプラント治療後も正確な予防を心がけることが大切です。
以下に予防のポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

Point1自宅でのセルフケアを毎日しっかり行う

インプラント周囲炎を防ぐためには、日々のセルフケアが欠かせません。特にさまざまなデンタルグッズを用いて、細菌の少ない口腔環境を維持し、できるだけ歯垢や歯石の発生を防ぐことが重要です。ぜひブラッシングだけでなく、マウスウォッシュやデンタルフロスなどのオーラルケア製品を積極的に使うようにしましょう。
ご自宅でのケアに不安がある場合は、ブラッシング指導やデンタルグッズのアドバイスを行います。ぜひお気軽にご相談ください。

Point2プロのメインテナンスを受ける

歯科医院におけるメインテナンスは、専門家による口腔内のチェックや、セルフケアでは取り除けない歯垢や歯石のクリーニングを行うのが一般的です。特にメリットとして挙げられるのが、お口の中に異常が見つかった場合、迅速に治療を受けることが可能な点です。
インプラント周囲炎は初期段階だと自覚症状がほとんどないため、患者様だけでトラブルを発見するのは困難です。ぜひご自宅でのケアに加えて、少なくとも3~4ヶ月に一度は歯科医院でプロのメインテナンスを受けるようにしましょう。

Point3タバコの吸い過ぎに注意する

喫煙によって血管が収縮し、その結果、歯ぐきを含む口腔内の組織への血流が減少します。そのため、酸素や栄養素の供給が不足し、組織の健康と修復が妨げられるのです。また、喫煙は免疫細胞の働きを弱め、感染に対する体の抵抗力を低下させることもあります。
つまり喫煙は総合的に口腔内全体に悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎のリスクを確実に高めます。インプラントを長く保つためにも、禁煙を心がけて、口内環境を健康に保つことが重要です。